FreeBSD-arm を Pandaboard に乗せてみた (1) 必要な資材を集めてみた
昨今のタブレットやスマホブームのお陰で、ARM CPUが目につきやすくなてきたように思えます。 一口にARM CPUと言っても、Intel 系のCPUと異なり、 様々なベンダが様々な独自機能を追加して製品にしているため、 たくさんの種類があります。 それらを使って様々な製品が開発されているわけですが、 FreeBSD-10-Current では約35種の 製品のためのカーネル設定ファイルが公開されています。
こうした FreeBSD-arm が稼働する(稼働しうる) 製品には、 Rasbery Pi や Beagleboneのようなワンボード・マイコンや、 SHEEVAPLUGのようなプラグコンピュータなどがあります。
Pandaboard はワンボードマイコンの1つで、 FreeBSD-arm を起動させることができるものの1つです。 これから数回にわけで、 Pandaboard 上でFreeBSD-arm を起動させるために行った作業をまとめます。
まず初回は、資材収集編です。
なお、資材一式に関しては ARMコンピュータショップでも調達出来ます。
- (1) 配布物入手して仮想マシン作成してみた
- (2) インストーラを実行してみた
- (3) 最新状態に更新してみた
- (4) portsを使う環境整備したった
- (5) sshログイン環境を整備してみた
- (6) xorgを導入してみた
- (7) Guest Additionを導入してみた
Pandaboard ESの調達
公式サイト | http://www.pandaboard.org/ |
---|---|
CPU | OMAP4460 デュアルコアCortex-A9 1.2GHz |
メモリ | DDR2 1GByte |
外部記憶 | SDカードスロット |
電源 | 5V マイナス接地 |
有線LAN | 10/100BaseT |
無線LAN | 802.11 b/g/n 対応 |
Bluetooth | Bluetooth2.1+EDR通信 |
USB | USB2.0 × 2 |
ディスプレイ | HDMI v1.3 TypeA, DVI-D |
オーディオ | 3.5mm 入出力 |
汎用I/Oポート | I2C,GPMC,USB,MMC,DSS,ETM |
デバッグ | UART/RS232C,JTAGポート |
Pandaboardは比較的高性能なARMベースワンボードマイコンです。 無印のPandaboardと、その性能強化版のPandaboard ESとがあります。 前者のCPUは1.0GHzのOMAP4430ですが、後者のそれは1.2GHzのOMAP4460に強化されています。 一方でベンダにもよりますが入手価格は変わりません。 ですので購入されるならばES版のほうがお得でしょう。
購入は上記にリンクを張ったようにAmazonでも行えます。
また、DigiKey から個人輸入することもできます。
リンクを張った業者さんではACアダプタとAndroid4.04を収めたSDカードも付属しますので、
かなりお得と思えます。
その他の部材を揃える
Pandaboardはワンボードマイコンに過ぎないため、ボードだけあっても動作できません。 使用するためには、その他に幾つかの部材を揃える必要があります。
5V4A ACアダプタ
Pandaboard は標準ではACアダプタは付きません。 digikeyから個順輸入するなど場合は、別途ACアダプタを購入する必要があります。
上記のAmazonのショップではACアダプタは付属するようですので、別途購入の必要はありません。
ACアダプタは、必ず4A程度の電流を取ることができるものを選ぶようにしましょう。
電流容量の小さいものを使用すると、動作が不安定となることがあるようです。
コネクタ形状は外径5.5mm、内径2.1mm、内側プラスの標準的なものです。
SDHCフルサイズカード
Pandaboard では、起動はSDHC カードからbootします。 SDHC カードは交換できるので、Android や Ubuntsu への浮気もしやすいです。 OSイメージの書き込みは、母艦に装着して行います。
言ってみればハードディスク代わりに使用することになるので、 できる限り高速のものを選びましょう。 Class10のものなら間違えないです。
容量は、8GBもあれば十分ですが、16~32GBでも使用できます。
最近は16GBのものも、だいぶ安価になってきているようです。
ただし、容量が大きいとイメージの書き込みにも時間が掛かるので悩みどころではあります。
USB メモリカードリーダ
母艦にSDHCカードスロットが存在しない場合や、 VirtualBox上から直接SDカードにアクセスしたい場合、 USB メモリカードリーダを使用するとよいです。
カードへのイメージの書き込みは非常に時間がかかるものなので、
できる限り高速アクセスのできるものを選びましょう。
RS232C 延長ケーブルとUSBシリアルアダプタ
母艦パソコンとPandaboard とをRS232C で接続すれば、 母艦からPandaboardを操作することができます。 もちろん、ネットワーク経由でもログインはできますが、 ネットワーク経由だとマルチユーザモードに入らなければ操作できません。 RS232Cによる接続ならば、boot時から操作できます。
このPandaboardと母艦との接続には、RS232C オス/メス 9pin
ストレート結線のケーブルを使用します。
母艦にRS232C端子が付属する場合は、このケーブル1本で接続できます。
母艦にRS232Cコネクタがついていない場合、USB端子に接続する RS232Cアダプタを使用します。 最近はRS232Cのようなレガシインタフェースを装備したパソコンは 絶滅しつつありますので、通常はこちらとなるのでしょう。
少々値は張りますが、ラトックシステムのREX-USB60Fは64bit Windows7でも
安定して動作するのでお勧めです。
また、それなりの長さがあるので、RS232C延長ケーブルがなくとも母艦との
接続を行いやすいです。
HDMI ケーブル
Pandaboard の画像出力はHDMI端子です。
RS232Cのシリアルコンソール出力だけで十分であるならば不要ですが、
X Window の porting に挑戦したい、といった場合には、
このケーブルでお手持ちのディスプレイと接続します。
お手持ちのディスプレイの入力端子がDVI-Dしか存在しない場合は、
HDMI→DVI-D変換ケーブルで接続しましょう。
USB キーボード/マウス
もちろん、PandabordにもUSB接続でならば、キーボード、マウスを接続できます。
使いやすいものを選びましょう。
ここでは英語配列の小型キーボードを例にあげてみました。
英語配列はOSのデフォルトなので、特に設定が不要であり、
シングルユーザで起動した直後でも不自由なく使える、という利点があります。
マウスもUSB有線接続のものであれば、特に問題なく使えるはずです。
キーボードもマウスも、RS232C接続で使用する分には不要です。
また、DHCPとかDNS、ストレージコントローラなどサーバとして仕立てる
場合も不要でしょう。目的用途にあわせて揃えてください。
ここまでのまとめ
Pandaboard と、それを使うために必要な周辺機器を紹介しました。 これ以外には、USBハブがあると便利かもしれません。 Pandaboradは USB端子が標準では2個しかついてこないため、 キーボード、マウス双方をつなぐと売り切れ状態となります。 そうなると、USB HDDなどを接続しようとして困ってしまいます。 USBハブで分岐させれば、必要な機器を接続できます。
また、母艦側をUSB端子の少ないノート端末で頑張っている場合も 便利です。 私は母艦にUSB接続のHHKとロジクールのワイヤレストラックボールを 接続して使用しているので、空きポートが1つしかない状態です。 このため常時 USBハブ接続状態です。
さて、次回は購入したPandaboard開梱の儀式と、動作確認までを行います。