FreeBSD-CURRENT を導入してみた (2) インストーラを実行してみた
本稿ではVirtualBoxの仮想マシンにFreeBSD-10-CURRENTを導入します。 実環境ではなくVirtualBoxで仮想化することで、 1台のマシン上に複数の環境を持つことができます。 例えば動作する環境ができたならば、それをそのまま保存しておき、 別途そのクローンを使って次の実験を行うことができ、便利です。
FreeBSD-CURRENTを導入してみた
- (1) 配布物入手して仮想マシン作成してみた
- (2) インストーラを実行してみた
- (3) 最新状態に更新してみた
- (4) portsを使う環境整備したった
- (5) sshログイン環境を整備してみた
- (6) xorgを導入してみた
- (7) Guest Additionを導入してみた
- (1) 必要な資材を集めてみた
- ...
FreeBSD-10-CURRENT のインストール
仮想マシンの設定ができたなら、インストールCDのISOファイルを仮想マシンの CDROMドライブにセットして起動を掛けます。
- 仮想マシンへのCDROMメディアの挿入は、ストレージ設定で「CDROM」アイコンをクリックし、 「仮想CD/DVDディスクファイルの選択...」で先にダウンロードした インストールメディアファイルを指定します。 その状態で仮想マシンを起動すればFreeBSD-CURRENTのインストーラが起動します。
10-CURRENTのインストーラは9.0-RELEASEと同じbsdinstall(8)です。
基本的な操作は同じなので、9.0-RELEASEのインストール解説も参考になるでしょう。
本稿でもインストールの様子を紹介します。
- Welcome画面
ようこそ! FreeBSDに。インストールを開始しますか? それともLive CDを使いますか?
まずこのWelcome画面が表示されます。ここではシェルに抜ける「shell」や、 そのままマルチユーザモードで立ち上がる「LiveCD」を選択することもできますが、 ここでは「Install」を選択します。 ちなみに「Shell」や「LiveCD」は破損したシステムの復旧などに使うことがあります。
- キーボード選択の有無確認
あなたのキーボードのためにデフォルト以外のキーマップを設定しますか?
次に行うのがキーボードの選択です。 デフォルトのキーボードとは英語キーボードのことです。 それ以外のキーボード、日本語キーボードを使用している場合は「Yes」を選択して 使用キーボードを設定する次の画面に進みます。 英語キーボードを使用している場合は「No」を選択してスキップします。
- キーボード選択画面
キーボードの言語を選択
先の画面で「Yes」を選択した場合のみ、キーボードで使用されている言語を 選択します。なお、日本語 106 キーボードは「Japanese 106」を選択します。 「Japanese106x」も日本語106キーボードですが、CapsキーとCtrlキーが入れ替わります。 昔の Sun3のようなUnixワークステーションLoveな人にはうれしい設定ですね。
- ホスト名入力
このマシンのホスト名を選んでください。
管理下にあるネットワークで動作させているならば、適切な名前をあなたのネットワークの 管理者にお問い合わせください。
このマシンにつけるホスト名を入力します。
ここで入力されたホスト名はファイル/etc/rc.confに設定され、起動時にhostname(1)コマンドを 使ってホスト名設定が行われます。 なお、/etc/hostsには登録されません。
- 配布物選択
インストールするオプションのシステム構成物を選択してください。
オプションのインストール物を選択します。ここで必須なのはシステムのソースコードである 「src」のみです。他は選択してもしなくても変わりません。 最終的にはシステムを最新のソースコードからコンパイルしなおして更新します。 その際にここで選択しなかったコンポーネントもインストールされます。 また、ここでソースコードを展開しておけば、最新のソースコードを取得する際に取得するのが 展開したコードからの差分になるため、取得時間を多少は短縮できます。
- パーティショニング
ガイド付きパーティションツール (初心者向き)を使いますか、それとも 手動でパーティションを設定しますか(上級者用)? シェルを開いてパーティションを完全に手動で設定することもできます。
仮想ディスクにパーティションを設定します。ここでは「Guided」を選びましょう。 なお、ソフトウェアRAIDやZFSなどといった高度なディスク管理を使う場合は 「Shell」を選択することになりますが、ここでは扱いません。
- パーティション
FreeBSD用にこのディスク(ada0)全体を使いますか、それともパーティションを設定して他のOSと共存しますか? ディスク全体を使用すると現在格納されているすべてのデータが削除されます。
ここでは仮想ディスク全体をFreeBSDに使用してしまいましょう。他のOSを試したいならば別の仮想ディスクを切り出せばよいのが仮想環境の良いところです。
- パーティションエディタ
ディスクの設定を確認して下さい。完了したら、Finishボタンを押してください。
サーバ機を構築するならばパーティションも細かく設定するのですが、 単純なコンパイル機として使用するだけですのでパーティション分けは不要です。 そこでデフォルトのままとします。ちなみにディスク総容量42GB、メモリ容量2GBで デフォルト値は以下のようになりました。
パーティション 容量 ラベル マウント位置 備考 ada9p1 64kb freebsd-boot ブートローダが格納される ada0p2 40GB freebsd-ufs/ / OS全体が格納される ada0p3 2.1GB freebsd-swap none 仮想記憶に用いられる
デフォルトでは、ブートローダ、OS本体、仮想記憶領域の3つの パーティションが切られます。 この様子を確認したら、「Finish」を選択します。
- 確認
あなたの変更は今まさにディスクに書き込まれようとしています。既存のデータの上書を行うならば、復旧不能に削除されるでしょう。変更を完了しますか?
ここではそのまま「Commit」を選択します。 ちなみに処理を中断して終了するならば「Revert&Exit」を、前の画面に戻るならば 「Back」を選択します。
- アーカイブの解凍
配布ファイルを解凍しています...
配布ファイルの解凍が行われます。さほど時間もかからずに終了してしまいます。
- rootパスワード設定
システム管理アカウント(root)のパスワードを選んでください。
rootのローカルパスワードを変更中
配布物の解凍が終わると、自動的にこの画面に移ります。 この画面ではrootのパスワードを設定します。 適切なパスワードを設定しましょう。
- ネットワーク設定(1)
設定するネットワークインタフェースを選択してください。
デフォルトの仮想NICはIntelのPRO/1000 Desktopですので、em0ドライバとして認識されます。 ここではそれを確認し、「OK」を選択します。
- ネットワーク設定(2)
このインタフェースにIPv4を設定しますか?
まずIPv4の設定を行うかどうかを確認されます。ネットワークはNATモードを使用しています。 このモードではVirtualBoxがDHCP機能付NATルータとなって仮想マシンにアドレスを配布し、 接続性を提供します。なお、VirtualBoxのNAT環境ではIPv4しか使用できません。 ですのでIPv4設定は必須です。「Yes」を選択します。 *1
- ネットワーク設定(3)
このインタフェースの設定にDHCPを使いますか?
ネットワークはNATモードで動作しているのでDHCPクライアントとして動作させる必要があります。 「Yes」を選択します。
- ネットワーク設定(4)
このインタフェースにIPv6を設定しますか?
NATモードではIPv6は使用できないので「No」を選択します。
- ネットワーク設定(5)
リゾルバ設定
FreeBSD自身が参照するリゾルバDNSの設定を行います。 DHCPクライアントの設定を行っているので、 DHCPで配布されたドメイン名、DNSサーバアレスが初期値として表示されます。 特に事情がなければそのままで大丈夫でしょう。「OK」を選択します。
- ローカルかUTC(GMT)かの選択
このマシンのCMOSクロックはUTCに設定されていますか? ローカル時間に設定されているか、もしくは不明ならば、ここでは「No」を選んでください!
VirtualBoxでは特に選択しない限りハードウェアクロックはローカル時間になっています。 「No」を選択します。
- タイムゾーン選択
地域を選択
マシンが存在する地域の選択です。まず「Asia」を選び「OK」を押します。
- アジアの国々
国、または地域を選択
「Japan」を選択し、「OK」を押します。
- 確認
略語'JST'は正しそうですか?
時刻表示にJST(日本標準時)を使用する確認です。これでマシンの出力する時刻はデフォルトでは日本時間で表示されます。 「Yes」を押します。
- システム設定
ブート時に起動させたいサービスを選択してください。
立ち上げ時に起動させたい機能を選択します。 これ以外にも多数の機能を起動させることができますが、ここでは代表的な機能のみ選択できるようになっています。これ以外の機能は導入後に起動設定させることができます。 ここで設定できるのは以下の機能です。
デーモン 内容 sshd セキュアシェルデーモン。安全な遠隔ログインやファイル転送 moused PS/2マウスをコンソールで使用 ntpd システムとネットワークの時刻を同期 powerd> CPUクロックを動的に調整
powerdはVirtualBoxの仮想マシンでは使用できませんので選択しません。 また仮想環境ではクロックが狂いやすいのでntpdは必ず有効にします。クロックもソフトウェアでエミュレーションされるのですが、正確なエミュレーションは難しいのです。 「sshd」、「moused」、「ntpd」の3つを選び、「OK」を押します。
- Dumpdev設定
クラッシュダンプ機能を有効化しますか? システムに問題が発生した時に、その問題をFreeBSD開発者がデバッグするのに役立ちます。 しかしながらクラッシュダンプは/var以下に多くのディスクスペースを消費する場合があります。
OSがクラッシュするときに、/var以下にダンプ情報を書き出す機能のoff/onを指定します。 クラッシュの際にメモリ内の内容がまずスワップ領域にダンプ出力されます(つまり、スワップ領域はメモリ容量と等しいか、それよりも大きい必要があります。現在は等しく取るのが主流です)。 そして、次に起動する際にスワップ内のダンプデータが/var/crashに書き出されます。 従い消費されるディスク量はメモリ容量程度になります。 CURRENTは動作が不安定になりえるため、有効にしておいた方が安心です。「Yes」を押します。
- ユーザアカウントの追加
インストールしたシステムに今ユーザを追加しますか?
一般ユーザを追加するか確認を求められています。 ユーザ追加は後で行うことにして、今は「No」を押します。
- 最終設定
あなたのFreeBSDシステムのセットアップはほとんど完了しています。ここでは 選択した設定を変更できます。より複雑な変更は、この画面の後でシェルを開いても行えます。
これまで行ってきた設定メニューをもう一度呼び出せます。 選べるメニューは以下の通りです。
メニュー 機能 Exit 設定を適用してインストーラを終了 Add User システムにユーザを追加 Root Password rootのパスワードを変更 Hostname システムのホスト名を設定 Network ネットワーク設定 Services 起動時に実行させるデーモンの指定 Time Zone システムのタイムゾーンを設定 Handbook FreeBSDハンドブックを導入(ネットワークの稼働が必要)
必要ならば再設定し、「Exit」を選択、「OK]を押します。
- 手動設定
インストールは今終了しました。インストーラを終了する前に、 システムの最終手動設定をシェルを開いて行いますか?
必要であるならばシェルを開いて追加の作業を行うこともできます。 ここでは必要ないので「No」を押します。
- 完了
FreeBSDのインストールは完了しました! インストールしたシステムを再起動しますか?
これでインストール作業は完了です。「Reboot」を押します。その際に、VirtualBoxのストレージメニューでCDROMのインストールファイルの割り当てを除去しておきます。 無事起動してログインプロンプトが出てくれば成功です。この際にCDROMを「抜く」とタイミングによってクラシュするというレポートをいただきました。 安全に作業を完了するには以下の手順が良いようです。- そのまま「Reboot」で再移動する
- (CDROMが挿入されっぱなしなので)再度インストーラが起動する
- そこでおもむろにCDROMファイルの除去を行う
- 再起動する
ここまでのまとめ
以上でFreeBSD-CURRENTを VirtualBocの仮想マシンにインストール 完了です。 次回は、 CURRENTを更新して常にCURRENTでありつづける手順を紹介します。